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毒にまつわる美


"GIFT-series" について

私が2000年に出会った「美」は「毒」にまつわるものであった。毒そのものではなく、毒を見の内に抱えるものの美をとらえ、それを表現することがこの「GIFT」シリーズへとつながった。

「毒」は、多くの他者にとっても不快なものだろう。なぜならそれは敵意や、殺意、攻撃に利用され、死や打撃を与える目的があるからだ。このようなものに「美」を感じることは私に混乱と矛盾をもたらした。毒を身の内に抱えるもの、そしてその美とは何だろう。

猛毒を持つ矢毒がえる、ルネサンスを支えたパトロンであり毒殺者でもあるメディチ家のカトリーヌ・ド・メヂィシス、不老不死をもとめ水銀を飲んだ中国の皇帝たち、毒と知りつつ鉛の白粉を使用していた人々。これらにも独自の美があるのではないだろうか。それは毒を持つ事や選択することでしか生きられない暗い決意である。そしてそれも生きるためにはおこりうる一つの局面であると共感する。「美」が多様であるようにそれを感じる生もまた多様である。

このような「毒」と「生」の関わりこそが「毒」にまつわるものを「美」へと導くのではないだろうか。